このカンヅメは呉清源からの申出によるもので、呉清源がなぜこのような申出をしたかというと、今から二十年ほど前に当時五段の呉清源と本因坊秀哉名人とが対局したことがある。
このとき呉清源必勝の局面が打ち掛けになったとき、坊門の棋士が総勢集まって研究し、前田六段(当時)がついに起死回生の名手を発見し、そのために碁がひっくり返って本因坊の二目勝になったという秘史があるからなのである。
本因坊戦にはこういう因縁があるから、呉清源が要心深く対局者の門外不出絶対カンヅメを厳重に申出たのはモットモなことでもあった。