升田も板谷も出来損いの剣術使いのような面魂で、肩先三寸斬られた傷がまだ治らないような風態である。
そこへもってきて、名古屋の新聞の御歴々というのが、どれが社長で、どれが編集局長で、どれが平社員だかとても区別のつけようがなかったのであるが、いずれもゲリラ部隊の新聞隊員という活気横溢の気鋭の士で「名古屋にもちょッとしたコーヒーを飲ませるウチがあるから」と、ワッショイ、ワッショイ、バラックのコーヒー店を占領する。
当時はちょッとしたコーヒーを飲ませる店がたしかに国宝的な時世であったが、国宝を鑑賞するにしては、どうも作法が荒っぽい。