私が長崎へ旅行したときは、いつも酒ばかり飲んでいて食慾が少なかったから、チャンポンの大量なのをもてあましたが、ちかごろは酒量が少なくなったところへ、ゴルフに凝ったせいか食慾がいくらか逞しくなったから、長崎チャンポンを二ツほど一時にペロリと平らげに行ってみたいなぞとふと思うことがある。
私は元来メン類が好物であるが、日本の物は淡泊すぎ、支那のはしつこく、チャンポンがちょうどよい。
けれども、チャンポンをなつかしむ思いのうちには、味覚はさておいて、あの巨大な量と、それをペロリペロリと平らげてゆく食慾の爽快さ、巨大な量を軽くあしらうように平らげてしまう落付き払った食慾の快味などをなつかしむことも強いのだ。