むかし音楽や劇は貴人の城内に於てしか演じられなかったもので、その見物に招待をうけることすら同時に自らも貴人族たることの証明を得たようなものだった。
くだって芸術は常設館に進出して庶民の物となったが、今度は庶民の各家庭を訪問して演じるというしだいであり、庶民はテレビを得て往時の貴人の位置を占めたわけであり、すくなくとも見物するタノシミにおいてこれ以上の革命はもはや考えられない。
しかも、映画というお手本のあとに生れたせいであろうが、テレビの映写技術は短日月にも拘らず意外に進歩しておって、移動やクローズアップなぞ、すでに相当にやっておる。