牧野信一の自殺した小田原の家、あの家にも暫く泊っていたことがある。
お寺の隣で、前後左右墓地を通りぬけて出入するという家であり、彼が首をくくった子供部屋は三畳ぐらいの板敷きの日当り悪い陰気な部屋だが、一向に「死の家」という感じは残らぬ。
それらの家に比べれば、芥川家は高台の日当りの良い瀟洒な家で、屋根裏、病的、陋巷、凡そ「死の家」を思わせる条件の何一つにも無関係だが、僕にとっては陰鬱極まる家であった。
牧野信一の自殺した小田原の家、あの家にも暫く泊っていたことがある。
お寺の隣で、前後左右墓地を通りぬけて出入するという家であり、彼が首をくくった子供部屋は三畳ぐらいの板敷きの日当り悪い陰気な部屋だが、一向に「死の家」という感じは残らぬ。
それらの家に比べれば、芥川家は高台の日当りの良い瀟洒な家で、屋根裏、病的、陋巷、凡そ「死の家」を思わせる条件の何一つにも無関係だが、僕にとっては陰鬱極まる家であった。