それらの家に比べれば、芥川家は高台の日当りの良い瀟洒な家で、屋根裏、病的、陋巷、凡そ「死の家」を思わせる条件の何一つにも無関係だが、僕にとっては陰鬱極まる家であった。
葛巻の起居していた二階八畳の青い絨毯など特に僕の呪ったもので、あの絨毯の陰気な色を考えると、方向を変えて、ほかの所へ行きたくなってしまったものだ。
この絨毯は、僕の記憶に誤りがなければ、芥川全集の最初の版の表紙に用いた青布の残りで、部屋いっぱい敷きつめると、汚れたような黒ずんだ青だ。
それらの家に比べれば、芥川家は高台の日当りの良い瀟洒な家で、屋根裏、病的、陋巷、凡そ「死の家」を思わせる条件の何一つにも無関係だが、僕にとっては陰鬱極まる家であった。
葛巻の起居していた二階八畳の青い絨毯など特に僕の呪ったもので、あの絨毯の陰気な色を考えると、方向を変えて、ほかの所へ行きたくなってしまったものだ。
この絨毯は、僕の記憶に誤りがなければ、芥川全集の最初の版の表紙に用いた青布の残りで、部屋いっぱい敷きつめると、汚れたような黒ずんだ青だ。