ジッドの「ワイルドの思い出」という本も三日ぐらいで全部訳してしまったし、マリイ・シェイケビッチ夫人という有閑マダムの「プルウストの思い出」この本も一夜で訳した。
尤も、一冊の本ではあるが、有閑マダムの豪華本であるから、全訳して三十枚ぐらいのもの。
何分僕は大してフランス語はできないところへ、一晩という時間であるから、辞書をひかぬ、分らぬところは面倒くさい飛ばしてしまえ、というわけで、諸所に五行ぐらいずつ飛ばしたところもある始末で、「プルウストの思い出」でも、プルウストの好きな献立の半分ぐらい料理の名前や原料に知らない言葉がでてきたので、此奴面倒と飛ばしてしまった。