若槻礼次郎邸では名刺を置いてきただけだったが、加藤高明のところでは招ぜられて加藤高明に会い、一中学生の私に丁重極まる言葉で色々父の容態を質問された。
私はもう会話も覚えておらぬ。
全てを忘れているが、私はこの大きな男、まったく、入道のような大坊主で、顔の長くて円くて大きいこと、海坊主のような男であったが、ひどく大袈裟な物々しい男のくせに、私と何の距てもない心の幼さが分るようであった。
若槻礼次郎邸では名刺を置いてきただけだったが、加藤高明のところでは招ぜられて加藤高明に会い、一中学生の私に丁重極まる言葉で色々父の容態を質問された。
私はもう会話も覚えておらぬ。
全てを忘れているが、私はこの大きな男、まったく、入道のような大坊主で、顔の長くて円くて大きいこと、海坊主のような男であったが、ひどく大袈裟な物々しい男のくせに、私と何の距てもない心の幼さが分るようであった。