この男が亭主だということは私以外の客は知らない。
私は女に誘われても泊らないので亭主は私に好意を寄せて打ち開けて話し、女も私には隠さず、あのバカ(女は男をそうよんだ)ヤキモチも焼かない代りに食いついてエモリみたいに離れないのよ、と言った。
私と男二人だけで外に客のない時は、今晩泊めろ、泊めてやらない、ネチネチやりだし、男が暴力的になると女が一そう暴力的にバカヤロー行ってくれ、水をひっかける、と言いも終らず皿一杯の水をひっかけ、このヤロー、男がいきなり女の横ッ面をひっぱたく、女が下のくぐりをあけて這いだしてきて武者ぶりつき椅子をふりあげて力まかせに男に投げつけるのだ。