彼は貴公子であった。
彼の魂は貧窮の中であくまで高雅であったからだ。
彼は近代作家の地べたに密着した鬼の目と、日本伝統の文人気質を同時にもち、小説なんかたかが商品だと知りながら、芸術を俗に超えた高雅異質のもの、特定人の特権的なものと思っており、矜恃をもっていたから、そしてその誇りを一途の心棒に生きていたから、貧窮の中でも魂は高雅であったが、又そのために彼の作品は文人的なオモチャとなり、その基底に於ても彼の現身と遊離する傾向を大きくした。
彼は貴公子であった。
彼の魂は貧窮の中であくまで高雅であったからだ。
彼は近代作家の地べたに密着した鬼の目と、日本伝統の文人気質を同時にもち、小説なんかたかが商品だと知りながら、芸術を俗に超えた高雅異質のもの、特定人の特権的なものと思っており、矜恃をもっていたから、そしてその誇りを一途の心棒に生きていたから、貧窮の中でも魂は高雅であったが、又そのために彼の作品は文人的なオモチャとなり、その基底に於ても彼の現身と遊離する傾向を大きくした。