彼はていよくマダムにあやつられ、それというのが、彼がその道にまったく稚拙で単なるダダッ子にすぎないのだから旦那の信用を博している、そこでマダムは彼をつれだし、ついでに男をつれだして、彼を気持よく酔わせておいて、アラ、チョット先生忘れた用があるからとか、買物をしてくるから、とか、人に会ってくるとか呼んでくるとかぬけだして、彼にはオデン屋の安酒をあてがって二時間ほど遊んでくる。
しょっちゅう男が変っているが事情に全然変化のないのは庄吉で、ちかごろでは卑屈になって、アラ、そう、忘れた、先生、と二人の男女が立ち上ると、皆まできかずエヘヘ行ってらっしゃいなどと、あさましい。
そのあさましさは骨身に徹して彼には分るが、浮気女の豊艶な魔力におさえられて一言二言うまいことを言われるとグニャグニャ相好をくずすだけが能だという、思えばかえすがえすもあさましい限りであった。