窓をあけて青空を眺めたら、私は急に旅行に行きたくなった。
女も大賛成で、私は人から貰って三日目ばかりの時計、これは全く私に縁がないようにその宿命が仕組まれていたとしか思われないほど高級品であったから、女は大いに気をきかし、勇み立ち、この質屋、あの古物商、知りあいの商店の旦那をよびだして、かけあったり、もういい加減で売っちゃえと云っても、ダメダメ安すぎる、大いにハリキッて倦むことを知らない。
質屋の出入にも、腕をくるくるふりまわしながら飛んだり跳ねたり、ヘッピリ腰でのぞきこむかと思うと急に威勢よくコンチハと大きな声で戸をあけたり、まるで天性あらゆる宿命を陽気に送り迎えているとしか思われぬようだった。