辰夫はある私鉄の改札掛となって、間もなく遠方へ越して行った。
一日私は広茫たる水田のほとりへ辰夫を訪れた。
折悪しく辰夫は社用で不在だったが、あの神経質な又冷淡な母親を予想していた私は、そこに全く思いがけない物静かな、その温顔に神へのような深い感謝を私に浴せる老いたる母を見出して呆然としていた。
辰夫はある私鉄の改札掛となって、間もなく遠方へ越して行った。
一日私は広茫たる水田のほとりへ辰夫を訪れた。
折悪しく辰夫は社用で不在だったが、あの神経質な又冷淡な母親を予想していた私は、そこに全く思いがけない物静かな、その温顔に神へのような深い感謝を私に浴せる老いたる母を見出して呆然としていた。