手廻しの悪い人間でも、現実に対処する生活力というものは、知識と別で、我々文学者などというものはイザとなると駄目なものだ。
蒲田が一挙に何万という強制疎開のときは箪笥が二十円で売られたもので、これを私からきいた荒正人はすぐにも蒲田へ駈けつけて箪笥を買いたそうな顔だった。
つまり彼は生き残る確信に於て猪の鼻息のように荒かった。
手廻しの悪い人間でも、現実に対処する生活力というものは、知識と別で、我々文学者などというものはイザとなると駄目なものだ。
蒲田が一挙に何万という強制疎開のときは箪笥が二十円で売られたもので、これを私からきいた荒正人はすぐにも蒲田へ駈けつけて箪笥を買いたそうな顔だった。
つまり彼は生き残る確信に於て猪の鼻息のように荒かった。