そして現実をむしろ夢想をもって眺めて、どんな卑劣なことをしても生きぬいてみせると悪魔の如く吠えることを好んだ荒君は、私にはハリアイのない女の笑い顔よりも却って現実の凄味や厳しさが感じられなかった。
女のハリアイのない笑顔の中には、悪魔の楽天性と退屈とがひそんでいたように思う。
私は六月の中頃だろうか、もう東京が焦土になってのち、勇気をふるって「黄河」の脚本を書いた。
そして現実をむしろ夢想をもって眺めて、どんな卑劣なことをしても生きぬいてみせると悪魔の如く吠えることを好んだ荒君は、私にはハリアイのない女の笑い顔よりも却って現実の凄味や厳しさが感じられなかった。
女のハリアイのない笑顔の中には、悪魔の楽天性と退屈とがひそんでいたように思う。
私は六月の中頃だろうか、もう東京が焦土になってのち、勇気をふるって「黄河」の脚本を書いた。