国家の総力を傾け、その総力がすべて崩れてあらゆる物が裸体となった今日の日本に於て、その人の眼が何物を見つめ、狙い、何物を掴みだすか、ということは、興味ある問題だ。
その人の内容だけの物しか狙い又掴みだすことができず、平時に瞞着し得た外見も、ここに至ってその真実を暴露せずにはいられない。
志賀直哉の眼が特攻隊員の再教育などということに向けられ、ただ一身の安穏を欲するだけの小さな心情を暴露したということは、暴露せられた軍人精神の悲惨なる実体と同じ程度に文学の神様の悲痛極まる正体であった。
国家の総力を傾け、その総力がすべて崩れてあらゆる物が裸体となった今日の日本に於て、その人の眼が何物を見つめ、狙い、何物を掴みだすか、ということは、興味ある問題だ。
その人の内容だけの物しか狙い又掴みだすことができず、平時に瞞着し得た外見も、ここに至ってその真実を暴露せずにはいられない。
志賀直哉の眼が特攻隊員の再教育などということに向けられ、ただ一身の安穏を欲するだけの小さな心情を暴露したということは、暴露せられた軍人精神の悲惨なる実体と同じ程度に文学の神様の悲痛極まる正体であった。