私は漱石の作品が全然肉体を生活していないので驚いた。
すべてが男女の人間関係でありながら、肉体というものが全くない。
痒いところへ手が届くとは漱石の知と理のことで、人間関係のあらゆる外部の枝葉末節に実にまんべんなく思惟が行きとどいているのだが、肉体というものだけがないのである。
私は漱石の作品が全然肉体を生活していないので驚いた。
すべてが男女の人間関係でありながら、肉体というものが全くない。
痒いところへ手が届くとは漱石の知と理のことで、人間関係のあらゆる外部の枝葉末節に実にまんべんなく思惟が行きとどいているのだが、肉体というものだけがないのである。