彼の兄が信州や越後水原などの代官をやっていたので、兄について巡見に行って納米の割当をやったから、百姓についても知識を持ったし、その道中でも折あればケンカの腕をみがいて見聞をひろめた。
二十一の年に江戸を食いつめて、また家出をした。
事があったら斬死するつもりでいたから何も怖いことはなかったし、田舎へ戻って一家をなしている相弟子が大事にしてくれたから、その門人に稽古をつけてやったりして江戸へ帰る気がなかったのだが、兄貴の子で彼の相棒の一人たる新太郎が迎えにきたから、仕方なしに帰ることにした。
彼の兄が信州や越後水原などの代官をやっていたので、兄について巡見に行って納米の割当をやったから、百姓についても知識を持ったし、その道中でも折あればケンカの腕をみがいて見聞をひろめた。
二十一の年に江戸を食いつめて、また家出をした。
事があったら斬死するつもりでいたから何も怖いことはなかったし、田舎へ戻って一家をなしている相弟子が大事にしてくれたから、その門人に稽古をつけてやったりして江戸へ帰る気がなかったのだが、兄貴の子で彼の相棒の一人たる新太郎が迎えにきたから、仕方なしに帰ることにした。