男に比して自主性が低く、かねて与えられた覚悟のほかに才覚がつかないような理由もあろうし、目の前に戦死した親や良人や兄弟を見て己れの生を望む心を失うのも当然な理由であろうが、彼女らが己れ自らを美化し、美とともに去る魂の持主であったことも忘るべきではない。
三原山の火口自殺の始祖も幾人かの女学生の一行だったが、死を美とみ、もしくは美しく死ぬという考えは日本の婦人には非常に根強いもののようだ。
これは強制されて出来ることではなく、自発的か、追いつめられてなるにしてもすでに夢に酩酊しているか、いずれかであろうが、男子の多くが最後の瞬間まで生きたい才覚と苦闘する率が多いのに比べて覚悟を決した女子の多くが雑念なく、ただ己れの愴美に酔い得た俳優のように生き生きと美しく死ぬことができ易いのは確かなようだ。