そのころ、三代将軍家光の死を流布する者があり、しかし幕府瓦解の怖れがあって喪の発表をさしひかえ死をヒタ隠しにしている、というような風聞があった。
それを信じて陰謀を企らんだという見ていたような説もあるが、当てにならない。
しかし、ともかく黒幕の浪人策師連が一揆へみちびくために、幕府の土台がグラつきだしているというようなことを人々に信ぜしめたのは事実であろうし、いま自分らが立てば、幕府を怖れて表向き棄教のフリを見せていた九州各地の旧切支丹大名が立ちあがり、海の彼方からは神父と神父の国の軍勢を満載した大きな船が何十隻も助けにくるなどと放送していたようである。