こんな下手クソな見えすいた口実をつけるぐらいなら始めからアッサリ武力に訴えて然るべきであろうに、それが出来ずにこういう泥くさい不手際でかすめとったというのは、彼はつまり凡そ人の天下をとるにふさわしくない場違い者であった証拠である。
時代というものは奇妙なもので、決してその時代の最大最高とは限らない人物が、時の流行の思潮によって最大最高の位置につく。
その下役の参謀などに却って人物がいても、時代は識見と相応せずに人柄と取引するような場合が多いので、柄が時代に合わないと、どうにもならないものである。