弟は、私が現れると、私を見て、それから医者の顔を見た。
私の下手な挨拶、それでも父のゐない家では、私が戸主なのだから、それに偶にしか帰つて来ない田舎のことだし、私自身は不評判な息子なのだからと思ふと、せいぜい世俗的な丁寧さをもつてくる私の挨拶を見て、弟はあてが外れたといふ顔をしてゐたし、私自身も一寸恥しくなつた。
医者は弟から二尺位離れた位置に、聴診器をあてるでもなく、何をするでもなく、坐つて弟を時々視守つてゐた。
弟は、私が現れると、私を見て、それから医者の顔を見た。
私の下手な挨拶、それでも父のゐない家では、私が戸主なのだから、それに偶にしか帰つて来ない田舎のことだし、私自身は不評判な息子なのだからと思ふと、せいぜい世俗的な丁寧さをもつてくる私の挨拶を見て、弟はあてが外れたといふ顔をしてゐたし、私自身も一寸恥しくなつた。
医者は弟から二尺位離れた位置に、聴診器をあてるでもなく、何をするでもなく、坐つて弟を時々視守つてゐた。