死を観念させられてゐる弟の前で、一寸した脬腫のことなぞ持出したことはと、そんな気持もするのであつた。
医者が帰つた後で、うつかりまた耳の下へ手をやつてゐるのを、弟の眼がマジマジとするので気が付いて、急に手を下ろすと、一瞬弟の眼は後悔の色を浮かべるのであつた。
暑い日で、扇風器が廻つてゐたが、医者が帰つたので、少しそれをとめてくれと弟は云つた。
死を観念させられてゐる弟の前で、一寸した脬腫のことなぞ持出したことはと、そんな気持もするのであつた。
医者が帰つた後で、うつかりまた耳の下へ手をやつてゐるのを、弟の眼がマジマジとするので気が付いて、急に手を下ろすと、一瞬弟の眼は後悔の色を浮かべるのであつた。
暑い日で、扇風器が廻つてゐたが、医者が帰つたので、少しそれをとめてくれと弟は云つた。