中原中也 『亡弟』 『此の節は東京はどちらにおいでで』といふ、車夫の、暗がりの水溜りを避け/\云ふ声に、フト私は我に帰つた。 『目黒の方だ』と、随分力を入れて答へたのではあつたが、その声はかすれてゐた。 俥が揺れるたんびには、今にも涙が落ちさうであつた。 中原中也の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア