中原中也 『耕二のこと』 母はその時の耕二に憐憫の情を持たないでゐられなくて、「まあもう少しいらつしやい」とさう言つた。 ――耕二はそのガシヤガシヤの手を襖の把手に手を掛けた儘、此方を向いて口をムツチリさせてゐた。 耕二のなめらかな頭の影が、真白な襖の面へ茫然浮き出てゐた。 中原中也の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア