袷一枚ではとても凌ぎ兼ねるほどの山の中だ。
それに雨さえ降り出した。
雨と云えば雨、霧と云えば霧と云われるくらいな微かな粒であるが、四方の禿山を罩め尽した上に、筒抜けの空を塗り潰して、しとどと落ちて来るんだから、家の中に坐っていてさえ、糠よりも小さい湿り気が、毛穴から腹の底へ沁み込むような心持である。
袷一枚ではとても凌ぎ兼ねるほどの山の中だ。
それに雨さえ降り出した。
雨と云えば雨、霧と云えば霧と云われるくらいな微かな粒であるが、四方の禿山を罩め尽した上に、筒抜けの空を塗り潰して、しとどと落ちて来るんだから、家の中に坐っていてさえ、糠よりも小さい湿り気が、毛穴から腹の底へ沁み込むような心持である。