仮りに何方かに決つた所でそれで何か出て来るといふわけのものでもありますまい。
「音」だのといふことも唱はれてをりますが、これに対しても、言語が発音される限り「音」はあるに決つてゐるといふ程の呑気さで、――多分報告的描写に過ぎぬ詩の続出に倦んだ揚句誰云ふとなく思ひ付かれたことのやうでありまして、もともとこんなに迄技巧論が抽象的に論じられるといふことは、まづ大抵の場合に意味のないことではありますまいか。
而もこんなに抽象的になつてゐることの一つの理由は、外国はいざ知らず我が国では、お互ひが痛い所に余りに触れなさすぎたからではありますまいか。