作品が存在の姿を持つためには、なんらか書かうとする前に書かんとする作品の全的な予想といふものがハツキリとしてゐなければならぬ。
データの予考といふことではないが、その今いふ予想たるや、ハツキリしてゐればゐる程口には云へないものでもあらうが、だからこそ作品にして現はす必要があるのでもあらうが、その予想がハツキリと肝に銘じてゐるのでなければ、仮りになんとか読めるものが出来たとしても、作者は心に満足出来るものではないし、人に進上は出来ない筈である。
その今いふ予想といふものが、作品に形式を与へるものでもあらうし、とまれ作品に「存在の姿」を与へるものである。