荷物を、運転手と僕とで運び入れて、運転手と助手とが帰つて行くと、僕一人になつた。
なんと鍋屋横丁の裏辺りから東京高等学校の辺りにかけてといふものは、いやな東京の郊外中でもわけてもいやな所であり、硝子障子から外をみると、枯草の野ッ原の中で子供が三つ凧を揚げてゐる。
どれもこれも白い菱形の小さな凧で、僕の魂の如くはかなく風に浮揚してゐる。
荷物を、運転手と僕とで運び入れて、運転手と助手とが帰つて行くと、僕一人になつた。
なんと鍋屋横丁の裏辺りから東京高等学校の辺りにかけてといふものは、いやな東京の郊外中でもわけてもいやな所であり、硝子障子から外をみると、枯草の野ッ原の中で子供が三つ凧を揚げてゐる。
どれもこれも白い菱形の小さな凧で、僕の魂の如くはかなく風に浮揚してゐる。