平たい石には今もその忠魂塔の鉄銹があるやうに、雨が降ればその銹は流れ出すやうにさへ思ふのだが、それはその後もずつと肉親を離れて東京にゐる、孤独な男の妙な幻想だけのものなのかも知れぬ。
とまれ私は今書きながらフトその忠魂塔の模型をだつて思ひ出したのだが、それが現に在つたといふことは非常に慥かなのだが、また却つて夢のやうでさへある。
それの周囲の棚だつた鉛の棒を共に抜取つた弟さへ、今は既に亡き数に入つたのである。
平たい石には今もその忠魂塔の鉄銹があるやうに、雨が降ればその銹は流れ出すやうにさへ思ふのだが、それはその後もずつと肉親を離れて東京にゐる、孤独な男の妙な幻想だけのものなのかも知れぬ。
とまれ私は今書きながらフトその忠魂塔の模型をだつて思ひ出したのだが、それが現に在つたといふことは非常に慥かなのだが、また却つて夢のやうでさへある。
それの周囲の棚だつた鉛の棒を共に抜取つた弟さへ、今は既に亡き数に入つたのである。