とまれ私は今書きながらフトその忠魂塔の模型をだつて思ひ出したのだが、それが現に在つたといふことは非常に慥かなのだが、また却つて夢のやうでさへある。
それの周囲の棚だつた鉛の棒を共に抜取つた弟さへ、今は既に亡き数に入つたのである。
たつたそれつぽつちのものが無暗に異様に思ひ出されて、その後それはどうなつたか、今でも物置小屋の隅でも探せば抛り込んであるのではないか、さしあたり今度帰省した時には、母にでも訊いてみようと、突嗟には思つたりする、――が、なに、それほど殊勝でもなんでもない。
とまれ私は今書きながらフトその忠魂塔の模型をだつて思ひ出したのだが、それが現に在つたといふことは非常に慥かなのだが、また却つて夢のやうでさへある。
それの周囲の棚だつた鉛の棒を共に抜取つた弟さへ、今は既に亡き数に入つたのである。
たつたそれつぽつちのものが無暗に異様に思ひ出されて、その後それはどうなつたか、今でも物置小屋の隅でも探せば抛り込んであるのではないか、さしあたり今度帰省した時には、母にでも訊いてみようと、突嗟には思つたりする、――が、なに、それほど殊勝でもなんでもない。