武が遙か北方に遷されていて顔を合わせずに済むことをむしろ助かったと感じていた。
ことに、己の家族が戮せられてふたたび漢に戻る気持を失ってからは、いっそうこの「漢節を持した牧羊者」との面接を避けたかった。
狐鹿姑単于が父の後を嗣いでから数年後、一時蘇武が生死不明との噂が伝わった。
武が遙か北方に遷されていて顔を合わせずに済むことをむしろ助かったと感じていた。
ことに、己の家族が戮せられてふたたび漢に戻る気持を失ってからは、いっそうこの「漢節を持した牧羊者」との面接を避けたかった。
狐鹿姑単于が父の後を嗣いでから数年後、一時蘇武が生死不明との噂が伝わった。