三造は初めてであるし、伯父もまだ二度目なのではっきり分らないのである。
三造を車内に残して、ひとり下りた伯父は、紙幣を一枚、右の人差指と中指の間にはさんだまま、あまり確かでない足どりで、往来から十間ほどひっこんだ路次にはいって行った。
そして、突当りの格子戸の上の標札を読むと、病人のわりにかなり大きな声で「ああ、ここだ。
三造は初めてであるし、伯父もまだ二度目なのではっきり分らないのである。
三造を車内に残して、ひとり下りた伯父は、紙幣を一枚、右の人差指と中指の間にはさんだまま、あまり確かでない足どりで、往来から十間ほどひっこんだ路次にはいって行った。
そして、突当りの格子戸の上の標札を読むと、病人のわりにかなり大きな声で「ああ、ここだ。