鯱か何かに成って敵の軍艦を喰ってやるぞ、といった意味の和歌が、確か、遺筆として与えられたはずだったことを彼は思出し、家中捜し廻って、ようやくそれを見付け出した。
既に湿気のためにぐにゃぐにゃになった薄樺色地の二枚の色紙には、瀕死の病者のものとは思われない雄渾な筆つきで、次のような和歌がしたためられていた。
あが屍野にな埋みそ黒潮の逆まく海の底になげうて
鯱か何かに成って敵の軍艦を喰ってやるぞ、といった意味の和歌が、確か、遺筆として与えられたはずだったことを彼は思出し、家中捜し廻って、ようやくそれを見付け出した。
既に湿気のためにぐにゃぐにゃになった薄樺色地の二枚の色紙には、瀕死の病者のものとは思われない雄渾な筆つきで、次のような和歌がしたためられていた。
あが屍野にな埋みそ黒潮の逆まく海の底になげうて