自分は作家となるべく生れついている、という信念は、何時、又、何処から生じたものか、自分でも解らなかったが、兎に角十五六歳頃になると、既に、それ以外の職業に従っている将来の自分を想像して見ることが不可能な迄になっていた。
其の頃から、彼は外出の時いつも一冊のノートをポケットに持ち、路上で見るもの、聞くもの、考えついたことの凡てを、直ぐ其の場で文字に換えて見ることを練習した。
其のノートには又彼の読んだ書物の中で「適切な表現」と思われたものが悉く書抜いてあった。
自分は作家となるべく生れついている、という信念は、何時、又、何処から生じたものか、自分でも解らなかったが、兎に角十五六歳頃になると、既に、それ以外の職業に従っている将来の自分を想像して見ることが不可能な迄になっていた。
其の頃から、彼は外出の時いつも一冊のノートをポケットに持ち、路上で見るもの、聞くもの、考えついたことの凡てを、直ぐ其の場で文字に換えて見ることを練習した。
其のノートには又彼の読んだ書物の中で「適切な表現」と思われたものが悉く書抜いてあった。