夜更のアピアの街のこととて何処も彼処も真暗だが、此の高い塀は、其処から二十碼ばかり行くと切れていて、その向うには、どうやら薄黄色い光が流れているらしい。
私はよろよろ立上り、それでも傍に落ちていたヘルメット帽を拾って、其の黴臭い・いやなにおいのする塀――過去の、おかしな場面を呼起したのは、此のにおいかも知れぬ――を伝って、光のさす方へ歩いて行った。
塀は間もなく切れて、向うをのぞくと、ずっと遠くに街灯が一つ、ひどく小さく、遠眼鏡で見た位に、ハッキリと見える。
夜更のアピアの街のこととて何処も彼処も真暗だが、此の高い塀は、其処から二十碼ばかり行くと切れていて、その向うには、どうやら薄黄色い光が流れているらしい。
私はよろよろ立上り、それでも傍に落ちていたヘルメット帽を拾って、其の黴臭い・いやなにおいのする塀――過去の、おかしな場面を呼起したのは、此のにおいかも知れぬ――を伝って、光のさす方へ歩いて行った。
塀は間もなく切れて、向うをのぞくと、ずっと遠くに街灯が一つ、ひどく小さく、遠眼鏡で見た位に、ハッキリと見える。