誰も初めの中は仲々寝そうにもなかった。
真中に砂を掘って拵えた急製の炉を囲み、火影に赤々と顔を火照らせ、それでも外からと、下からと沁みこんでくる寒さに外套の襟を立てて頸を縮めながら、私達は他愛もない雑談に耽った。
その日、私達の教練の教官、万年少尉殿が危く落馬しかけた話や、行軍の途中民家の裏庭に踏入って、其の家の農夫達と喧嘩したことや、斥候に出た四年生がずらかって、秘かに懐中にして来たポケット・ウイスキイの壜を傾け、帰ってから、いい加減な報告をした、などという詰まらない自慢話や、そんな話をしている中に、結局何時の間にか、少年らしい、今から考えれば実にあどけない猥談に移って行った。