中学に入ってから目立って身体の弱くなった彼は、就寝後、眼をとじては、「死というもの」を――抽象的な死の概念ではなく、病弱な自分に遠からず訪れてくるに違いない、(本当にその頃彼は寿命の短いに違いないことを確信していた)直接的な死を考えた。
自分の臨終の時の気持を考え、その瞬間から振返って見て感じるであろう・一生の時の短かさの感じ(それは二十年でも二百年でも同じ短かさに決っている)を彼は想像して見る。
ああ、本統に、なんて短いんだろうと、誇示的にではなく、全くしみじみと、心からの頼り無さを以て、そう考えられるに違いない。