中島敦 『木乃伊』 不思議なことに、名前は、何一つ、人の名も所の名も物の名も、全然憶出せない。 名の無い形と色と匂と動作とが、距離や時間の観念の奇妙に倒錯した異常な静けさの中で、彼の前にたちまち現れ、たちまち消えて行く。 彼はもはや木乃伊を見ない。 中島敦の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア