予定の時日を京都で費した自分は、友達の消息を一刻も早く耳にするため停車場を出ると共に、岡田の家を尋ねなければならなかったのである。
けれどもそれはただ自分の便宜になるだけの、いわば私の都合に過ぎないので、先刻云った母のいいつけとはまるで別物であった。
母が自分に向って、あちらへ行ったら何より先に岡田を尋ねるようにと、わざわざ荷になるほど大きい鑵入の菓子を、御土産だよと断って、鞄の中へ入れてくれたのは、昔気質の律儀からではあるが、その奥にもう一つ実際的の用件を控えているからであった。
予定の時日を京都で費した自分は、友達の消息を一刻も早く耳にするため停車場を出ると共に、岡田の家を尋ねなければならなかったのである。
けれどもそれはただ自分の便宜になるだけの、いわば私の都合に過ぎないので、先刻云った母のいいつけとはまるで別物であった。
母が自分に向って、あちらへ行ったら何より先に岡田を尋ねるようにと、わざわざ荷になるほど大きい鑵入の菓子を、御土産だよと断って、鞄の中へ入れてくれたのは、昔気質の律儀からではあるが、その奥にもう一つ実際的の用件を控えているからであった。