母が自分に向って、あちらへ行ったら何より先に岡田を尋ねるようにと、わざわざ荷になるほど大きい鑵入の菓子を、御土産だよと断って、鞄の中へ入れてくれたのは、昔気質の律儀からではあるが、その奥にもう一つ実際的の用件を控えているからであった。
自分は母と岡田が彼らの系統上どんな幹の先へ岐れて出た、どんな枝となって、互に関係しているか知らないくらいな人間である。
母から依託された用向についても大した期待も興味もなかった。
母が自分に向って、あちらへ行ったら何より先に岡田を尋ねるようにと、わざわざ荷になるほど大きい鑵入の菓子を、御土産だよと断って、鞄の中へ入れてくれたのは、昔気質の律儀からではあるが、その奥にもう一つ実際的の用件を控えているからであった。
自分は母と岡田が彼らの系統上どんな幹の先へ岐れて出た、どんな枝となって、互に関係しているか知らないくらいな人間である。
母から依託された用向についても大した期待も興味もなかった。