僕がいつも君に、こんな下手な、つまらぬ手紙を書いて、時々ふっと気まりの悪いような思いに襲われ、もうこんな、ばかばかしい手紙なんか書くまいと決意する事も再三あったが、しかし、きょう或るひとの実に偉大な書翰に接し、上には上があるものだと、つくづく感歎して、世の中には、こんなばかげた手紙を書くおかたもあるのだから、僕の君に送る手紙などは、まだしも罪が軽いほうだ、と少しく安堵した次第である。
どうも、君、世の中にはさまざまの事がある。
あのひとが、あんな恐るべき手紙をものするとは、全く、神か魔かと疑ってみたくなるくらいだ。