文豪用例帳

作家別 名言・名文

太宰治の名言・名文

太宰治は、自分の弱さや後ろめたさを隠さずに書いた作家である。青森の大地主の家に生まれ、恵まれた出自と、その出自への負い目のあいだで揺れ続けた。東京帝国大学仏文科に入るが講義にはほとんど出ず、中退する。芥川賞を強く望みながら受けられなかったことも、のちの作品に影を落としている。

『走れメロス』のようにまっすぐな信頼を描く一方で、『人間失格』『斜陽』では、世間とうまく折り合えない人間の孤独を突き放さずに書いた。没落する家を描いた『斜陽』は「斜陽族」という言葉を生んだ。一九四八年、三十八歳で世を去った。

太宰治 1909–1948
無頼派と呼ばれる作家の一人で、自身の苦悩を率直に綴る告白的な作風で知られる。代表作に『人間失格』『斜陽』『走れメロス』など。

名言・名文

民衆の心裡というものは元来そんなに頼りないものなのだ。太宰治『惜別』 素手の力で勝たないことには、おのれの心がすっきりしない。太宰治『ロマネスク』 悲しみは、金を出しても買え、という言葉が在る。太宰治『善蔵を思う』 墓場の無い人って、哀しいわね。太宰治『フォスフォレッスセンス』 渡り鳥というのは悲しい鳥ですな。太宰治『彼は昔の彼ならず』 ああ、民衆の生活というものは、とても、なつかしくて、そうして悲しいものだ。太宰治『正義と微笑』 いっそ発狂したい、と思っているうちに、その苦しみが、ふうと消えて、淋しさだけが残った。太宰治『正義と微笑』 お道化を演じて、人に可愛がられる、あの淋しさ、たまらない。太宰治『正義と微笑』 孤独ということは、あり得るかもしれない。太宰治『徒党について』 青春は人生の花だというが、また一面、焦燥、孤独の地獄である。太宰治『困惑の弁』 智慧の実は、怒りと、それから、孤独を教える。太宰治『正義と微笑』 おれは、ひとりぼっちなのだ。太宰治『猿ヶ島』 本を読まないということは、そのひとが孤独でないという証拠である。太宰治『如是我聞』 私は今は、生れてはじめて孤独です。太宰治『風の便り』 その優しい微笑が、ありがたくて、うれしくて、自分はつい顔をそむけて涙を流しました。太宰治『人間失格』 しかし、ちょっと眼頭が熱くなっただけで、涙は一滴も出なかった。太宰治『パンドラの匣』 おや、悲しくもないのに涙が出ました。太宰治『新ハムレット』 それは、片恋というものであって、そうして、片恋というものこそ常に恋の最高の姿である。太宰治『チャンス』 あなたは、恋をしたら、不幸になります。太宰治『斜陽』 私は、あなたさまを愛しています。太宰治『古典風』 あの人を、一ばん愛しているのは私だ。太宰治『駈込み訴え』 君が精いっぱいに生きているように、僕だって精いっぱいで生きているのだ。太宰治『虚構の春』 生きる目標を与えて下さったのは、あなたです。太宰治『斜陽』 生きて行くためには、愛をさえ犠牲にしなければならぬ。太宰治『姥捨』 あなたは、美しい作家です。太宰治『風の便り』 私は、その人を美しいと思った。太宰治『デカダン抗議』 一年経ち二年経ち、薄暗い部屋の中で誰にも知られず、むなしく美しさを増していました。太宰治『ろまん燈籠』 不用意にもらす言葉こそ、ほんたうらしいものをふくんでゐるのだ。太宰治『道化の華』 私には、何一つ毅然たる言葉が無いのだ。太宰治『鴎』 私、自分の言葉を織ってみる。太宰治『めくら草紙』 もいちど言う、言葉で表現できぬ愛情は、まことに深き愛でない。太宰治『創生記』 死ぬのか生きるのか、それはもう人間の幸不幸を決する鍵では無いような気さえして来たのだ。太宰治『パンドラの匣』 自分はその自己嫌悪に堪えかねて、みずから、革命家の十字架にのぼる決心をしたのである。太宰治『おさん』 自分でも生きているんだか死んでいるんだか、わかりやしない。太宰治『饗応夫人』 あたしは魔法使いの娘ですから、自分の運命をぼんやり予感する事が出来るのです。太宰治『ろまん燈籠』 弱虫は、幸福をさえおそれるものです。綿で怪我をするんです。幸福に傷つけられる事もあるんです。太宰治『人間失格』 大人とは、裏切られた青年の姿である。太宰治『津軽』 愛することは、いのちがけだよ。太宰治『雌に就いて』