「二三日前からもうおいでだろうと思って、心待に御待申しておりました」などと云って、眼の縁に愛嬌を漂よわせるところなどは、自分の妹よりも品の良いばかりでなく、様子も幾分か立優って見えた。
自分はしばらくお兼さんと話しているうちに、これなら岡田がわざわざ東京まで出て来て連れて行ってもしかるべきだという気になった。
この若い細君がまだ娘盛の五六年前に、自分はすでにその声も眼鼻立も知っていたのではあるが、それほど親しく言葉を換わす機会もなかったので、こうして岡田夫人として改まって会って見ると、そう馴々しい応対もできなかった。