それと、もうひとり、同室の固パンさんが、このごろひどく浮かぬ顔をしている。
何か煩悶の様子に見受けられたが、果して彼にもまた一種奇妙な苦労があったのである。
いったいこの固パンという人物は、秘密主義というのか、もったい振っているというのか、僕たちをてんで相手にせず、いつまでも他人行儀で、はなはだ気づまりな存在であったが、おとといの夜、あのような嵐で、七時少し過ぎた頃から停電になって、そのために夜の摩擦も無かったし、また拡声機も停電のため休みになって、夜の報道も聞かれなかったから、塾生たちは、みんな早寝という事になったのである。