富士を須走口へ降りる時、滑って転んで、腰にぶら下げた大きな金明水入の硝子壜を、壊したなり帯へ括りつけて歩いた彼の姿扮などが眼に浮んだ。
ところへまた梯子段を踏むお兼さんの足音がしたので、自分は急に起き直った。
お兼さんは立ちながら、「まあ好かった」と一息吐いたように云って、すぐ自分の前に坐った。
富士を須走口へ降りる時、滑って転んで、腰にぶら下げた大きな金明水入の硝子壜を、壊したなり帯へ括りつけて歩いた彼の姿扮などが眼に浮んだ。
ところへまた梯子段を踏むお兼さんの足音がしたので、自分は急に起き直った。
お兼さんは立ちながら、「まあ好かった」と一息吐いたように云って、すぐ自分の前に坐った。