いつかの夜など、信じられるのはお前だけだ、僕は人にだまされ利用されてばかりいる、僕は可哀想な子なのだからお前だけでも僕を捨てないでおくれ、と聞いていて浅間しくなるほど気弱い事をおっしゃって、両手で顔を覆い、泣く真似をなさいました。
どうして、あんな、気障なお芝居をなさるのでしょう。
そうしてちょっとでもあたしが慰めの言葉を躊躇している時には、たちまち声を荒くして、ああ僕は不幸だ、誰も僕のくるしみをわかってくれない、僕は世界中で一ばん不幸だ、孤独だ等とおっしゃって、髪の毛をむしり、せつなそうに呻くのでございます。