もっともそれは彼女が例の柱に倚りかかって、その前を通る自分の顔を見上げるときに、時候の挨拶を取換わすぐらいな程度に過ぎなかったけれども、――とにかくこの美しい看護婦から自分は運勢早見なんとかいう、玩具の占いの本みたようなものを借りて、三沢の室でそれをやって遊んだ。
これは赤と黒と両面に塗り分けた碁石のような丸く平たいものをいくつか持って、それを眼を眠ったまま畳の上へ並べて置いて、赤がいくつ黒がいくつと後から勘定するのである。
それからその数字を一つは横へ、一つは竪に繰って、両方が一点に会したところを本で引いて見ると、辻占のような文句が出る事になっていた。