けれどもよく聞いて見ると、知っているのは天王寺だの中の島だの千日前だのという名前ばかりで地理上の知識になると、まるで夢のように散漫極まるものであった。
もっとも「大坂城の石垣の石は実に大きかった」とか、「天王寺の塔の上へ登って下を見たら眼が眩んだ」とか断片的の光景は実際覚えているらしかった。
そのうちで一番面白く自分の耳に響いたのは彼の昔泊ったという宿屋の夜の景色であった。
けれどもよく聞いて見ると、知っているのは天王寺だの中の島だの千日前だのという名前ばかりで地理上の知識になると、まるで夢のように散漫極まるものであった。
もっとも「大坂城の石垣の石は実に大きかった」とか、「天王寺の塔の上へ登って下を見たら眼が眩んだ」とか断片的の光景は実際覚えているらしかった。
そのうちで一番面白く自分の耳に響いたのは彼の昔泊ったという宿屋の夜の景色であった。