東京で罹災したと言って、何の前触れも無く、にやにや笑ってこの家へやって来て、よくもまあ恥かしくもなく、のこのこ帰って来られたものだとおれは呆れてお前たちには口もききたくない気持だったが、しかし、お前もいまはおれの娘ではないんだし、島田という出征軍人の奥様なのだから、足蹴にして追い出すわけにもゆかず、まあ、赤の他人の罹災者をおあずかり申すつもりで、お前たちを黙ってこの家に置いてやる事にしたのだ。
つけ上っては、いけない。
おれには、お前たちの世話をしてやる義務もないし、お前だってこの家で我儘を言う権利などは持っていない筈だ。